毛糸の作り方や製造工程の裏側
毛糸が出来るまで①洗いから染め
手芸店などで見かける毛糸玉や、セーターやマフラーなどに使われている毛糸は、もともとは羊のフワフワとした体毛だったものです。
天然素材とも言える毛糸はフワフワしているだけでなく、やわらかくて暖かく、わたしたちの生活に密着していると言えるでしょう。では、毛糸はどのように作られているのでしょうか?
まず毛糸の素材である羊の毛を刈ります。羊は生後1~2年経過すると、毎年春ごろに毛を刈られるようです。毛刈りが終わった羊毛には、脂や汚れがたっぷり付いているので、ウール用の洗剤を使ってぬるま湯で洗います。
洗濯機で洗うことも可能ですが、手洗いで洗うことでキレイな仕上がりになります。その後、染めの工程に入ります。化学染料や草木染めなど、毛糸の種類によって染め方法が変わってきます。
また、洗浄後すぐに染めるか、紡いでから染めるかによっても全く異なる毛糸になります。さらに草木染めの場合、材料となる草木が若葉か、大きく育っているか、生か、乾燥しているかなどによっても変わってきます。
②羊毛をほぐして揃えるまで
続いて、羊毛をほぐすカーディングという工程です。羊毛が絡まないように油をかけ、表面に針がある大小のローラーが備わった機械に通します。
これにより繊維を1本づつほぐし、薄い毛の膜を作り、束ねてロープ状にしていきます。ロープ状になったスライバーを6~10本組み合わせ、櫛でけずりながら引き伸ばしていきます。
何度も繰り返すことで繊維が平行になり、均一の太さになります。次に、たくさんの櫛が付いたコーマー機という機械にかけ、植物性の不純物やゴミなどを取り除いていきます。
③糸紡ぎから完成まで
この段階ではまだ赤ちゃんの腕くらいある太さの毛糸を、箸ほどの太さにするため機械にかけます。細くなったら、いよいよ糸を紡ぐ工程に入ります。
精紡機にかけられ糸の太さまで引き伸ばし、撚りをかけて糸が紡がれていきます。巻き取った糸・単糸は、糸蒸し加工が行われ、さらに2本を組み合わせて、もう一度逆の方向に撚りをかけて双糸にし、ようやく毛糸が完成します。
1頭の羊からとれる毛糸は、約4.55キログラムと言われています。その羊毛が毛糸になるまでには上記でみたようにさまざまな工程を経ています。
その後、セーターやマフラー、カーディガンなどの衣類などになり、わたしたちの生活に欠かせないものとなっています。